アシュケナージのピアノ演奏の最大の特徴はその真摯で真面目な演奏姿勢です。超絶技巧の持ち主では ないにもかかわらず、圧倒的に広いレパートリーを持ち、完結させた全集企画の数では古今東西の ピアニストで彼の右に出る人はおそらくいないでしょう。その演奏は、ピアノにおいても指揮においても、単なる「巨匠風」「大家風」という言葉では片付けられない。常に新鮮さに満ち、溌剌とした柔軟な音楽表現で、作品の内面に潜む感性や表情の機微など、作曲家が伝えようとした本質そのものを表現できる随一の存在といえるでしょう。そのアシュケナージが得意としている作曲家の1人がショパンであり、彼は1971年から足掛け15年 に渡って、英デッカ(ロンドン)にオーケストラ付の 作品を除いた全てのショパンの作品を録音し、「ショパン全集」を完成させています。